定期テストの平均点

受験情報

この記事では「中学最初の定期テスト」について「平均点はどのくらいか」「小学校のテストとの違い」「中学校ごとの違い」に注目し、「どのような問題が出題されるのか」と併せて解説します。

POINT

小学校のテストより平均点が20点ほど低くなります。

小学生のうちに「テストに向けて準備する姿勢」を育んでおくと安心です。

小学校では各教科単元が終わるごとに「カラーテスト」と呼ばれる教材会社が作成した確認テストを実施します。「カラーテスト」の平均点は公表されていませんし、基礎の確認に主眼を置くテストか、思考力を問う問題の比率が高いテストかによっても異なりますが、実際には80点~85点が平均点となることが多いようです。

「カラーテスト」では、100点を取る生徒もクラスに複数いることが多いですし、ちょっとミスをしたり間違いやすい問題を間違っても90点前後の点数になりますので、「テストはそれなりに良い点が取れる」「ちょっとミスをしても80点くらいは取れている」と感じている小学生は多いと思います。

一方で単元にもよりますが、80点に届かない点数が見られる場合は注意が必要です。その単元の基本的な理解や少し前の単元の定着が不足している可能性があります。

小学校のカラーテスト80点~85点
中学最初の定期テスト60点~70点
▲平均点の目安

それに対して中学最初の定期テストの平均点は60点~70点5教科合計で300点~350点になる中学校が多いようです。生徒の目線でいえば「テストがかなり難しくなった」と感じるのではないでしょうか。

一昔前まで「中学最初の定期テスト」というと、英語はアルファベットや I am ~. / You are ~. などの簡単な文、数学も正負の数や絶対値の簡単な問題が中心で、90点前後の点数を取るのが一般的、と思われていました。現在は違います。どの教科もしっかりした問題が出題され、テストに向けて計画的に準備を進めておかないとなかなか良い点は取れません。小学校時代にテストであまり苦労した記憶のない生徒でも油断をすると50点台、40点台の点数を取ってしまうことがあります。

特に小学生時代に「テストに向けた準備」をした経験が少ない生徒ほど、このギャップに苦労する傾向があります。前述の通り小学校の「カラーテスト」は基本的な問題が中心で、特に事前の勉強をしなくてもそれなりの点数が取れてしまいます。毎日の宿題の量が少ない小学校も多いですので、「勉強」は学校から帰ってきた後に「パパッと」済ませるものという感覚の小学生が多く、「テストに向け時間をとって勉強する姿勢や習慣」がないまま中学校に上がってしまうことも多いのではないでしょうか。

難関私立中の受験を目指す生徒は高学年になると毎日数時間机に向かい、そこで「テストに向けて勉強する姿勢や習慣」を身につけます。

もちろん全ての小学生が中学受験をするわけではありません。中学受験をするかどうかはご家庭の方針によりますし、候補となる私立中学校の数が多くない地域では大部分の生徒が地元の公立中学校に進学することになります。ですから大切なのは「中学受験の有無に関わらず」小学生のうちからテストに向けて準備をする姿勢を身につけることだと思います。小学校でも先生が範囲を決めて行う漢字テストなど、事前の準備で点数に差がつくテストを行うことがあると思います。そういった機会を利用し、どんな風に準備をしたらいい点数が取れるのか、試行錯誤をすると良いかもしれません。

POINT

学校ごとに問題の難易度に差があります。

中学校による平均点の差も見てみましょう。

以下の表は、千葉市・市原市・木更津市内の比較的生徒数が多い中学校の中1最初の定期テスト平均点です。高い学校で350点ほど、低い学校で300点ほど。学校によって50点ほどの差があることが確認できます。理由はいくつか考えられますが、実際の問題を見てみると「学校により問題の難易度に差がある」ことが分かります。

学校国語数学英語理科社会5科目
A中学校70.964.970.572.269.8348.3
B中学校60.367.566.476.267.3341.1
C中学校61.975.467.269.855.3333.6
D中学校59.467.468.066.066.6327.4
E中学校60.057.262.262.850.8298.1
▲中学校ごとの平均点

※平均点を比べるうえでの留意点

中学校の定期テストは各中学校の先生が、生徒たちの学習状況を踏まえ、その定着度を測るために作成しています。それぞれの中学校に意図や状況が異なりますので「平均点が高いから良い/低いから悪い」ということはありませんし、「問題が難しいから良い/簡単だから悪い」などと、単純に評価することはできません。

大切なのは「生徒が中学校での学習に前向きに取り組み、しっかりと学力を育むこと」です。その目的のため行われる定期テストについて「良い/悪い」を評価することに意味はありませんし、生徒たちには目の前のテスト一つ一つにしっかりと取り組んでほしいと思っています。

一方で、生徒は基本的に自分の学校の定期テストが他と比べ簡単なのか難しいのかを知ることはできません。自分が受けているテストにどのような特徴があるのかを知り、それを自らの学習に活かすことは生徒にとって有益なことだと思います。

また定期テストを受けると「順位」が伝えられます。それは自らの努力の成果で勉強の励みにもなりえるものですが、あくまで「中学校内部の順位」であり「ある難易度の定期テストで測った順位」です。

ぜひ生徒たちには中学校の定期テストをがんばることに加え、各種検定にチャレンジする、塾やテスト業者が開催するオープンテストを受験してみるなど、より広い視野で学習に取り組んでもらいたいと思います。

各中学校で行われた実際の定期テスト問題を見てみると、大まかに言って

の2つのタイプに分けることができます。そして、このどちらの傾向が強いかによって平均点は変わります。以下でそれぞれのタイプについて特徴と留意点を説明します。

点数を取りやすいタイプの定期テスト

中学校では定期テスト当日までの宿題として「学校で配付しているワークのテスト範囲部分を解いて提出すること」を求められることが多いです。そして、学校によってはこのワークとほぼ同じ問題が定期テストに出題されます。このタイプの定期テストは平均点が高くなる傾向があります。450点を超える点数を取る生徒も多いため、実力がある生徒でもちょっと油断すると大きく順位を下げてしまうことがあります。

生徒の目線に立てば、ワークにしっかり取り組んでいれば高得点が狙えますので、自然と取り組みにも身が入ります。高得点を取ることは自信にも繋がりますので、ワークと同じ問題を出題することは「勉強をがんばる流れをつくりやすい」という点で理に適っていると言えるでしょう。

このタイプの定期テストにおける注意点は主に2つです。

ひとつは先ほども書いたように「勉強が点数に結びつきやすいため、油断すると大きく順位が下がる」という点です。最初の定期テストの順位は、生徒にとってその後の「基準」になるものです。中学校の先生が「ワーク(や配付したプリント)から出題されるぞ。」などと話している場合は、しっかり準備をしてテストに臨みましょう。

もう一つはより本質的な問題です。特に「ワークと同じ問題の割合が高すぎる」「学年が進んでもその傾向が続く」場合は注意が必要です。こういった場合、生徒たちに「ワークさえやっておけばそれなりの点数が取れる」「解答を丸暗記していればそれなりの点数がとれる」など、「勉強を表面的にとらえる姿勢」が生まれてしまう可能性があります。また、高校入試の問題は単純な知識の暗記だけでは正解できない問題を多く含みますので、「定期テストでは良い点が取れるけれど、入試(や実力テスト)では点が伸びない」という結果を招く危険性もあります。

ですので自分の学校のテストがこのタイプだと感じた場合は、定期テストで一定の点を取るだけで満足せず、より学習を深めていくとよいでしょう。大切にしてほしいのは「教科書」です。ワークは「用語をしっかり覚えているか」「基本的なパターンの問題が解けるか」に主眼を置いて構成されていますので、「なぜそうなるのか」問題や知識の背景を考えるにはやや不向きです。その点「教科書」は本当によく練られた素晴らしいテキストです。教科書を読み込み、自分の頭で考え、納得がいかないことがあれば先生に質問する。そういった姿勢で学んでいけば、知識が表面的にならず、さらなる興味や疑問が湧いてくると思います。

難易度が高いタイプの定期テスト

近年増えてきているのがこちらのタイプの定期テストです。特徴としては「記述問題が多い」 「考え方を問う問題が多い」 「高校入試の形式を意識している」などが挙げられます。400点を超えるとかなり良い得点で、450点を超えると学年トップが狙えるような難易度です。生徒の目線でいえば「それなりに準備したはずなのに想像していたよりも低い得点だった」と感じ、自信を無くしたり苦手意識を持ってしまうこともあるかもしれません。

逆に言えば、中学校3年間こういったタイプの定期テストを受け続け、そのテストでよい点が取れる勉強法を身に付けることができれば、高校入試であっても高校入学後の勉強であっても、自信を持って臨むことができるようになると思います。

大切なのは日々の復習です。このタイプのテストに「直前の詰め込み」は通用しないため、テスト前だけ集中して頑張るという姿勢ではなく、日頃から帰宅後にその日に習った内容について教科書やノートを見直す習慣を身に付けましょう。ただ眺めるだけでなく、納得しながら見直す姿勢が必要です。これは学校の授業中も同様で、受け身にならず「なぜそうなるのか」「この場合はどうなるのだろう」など頭を使いながら参加するとよいと思います。

もちろん、これはそう簡単なことではありません。次善の策としては「テスト勉強を早めに始める」ことが挙げられます。一般的にはテストの2~3週間前に「範囲表」が配られ、テストの数日前に部活動が休止期間に入ります。しかし、どの範囲が出題されそうかは範囲表をもらう前から予想できますので、準備に時間がかかりそうな教科の勉強は範囲表をもらう前から始めてしまいましょう。

そして「教科書」です。教科書をよく読むと、生徒に考えてほしいポイントは、しっかり思考を誘導するような書き方がしてあります。そういった部分を読み飛ばし「(重要に見える)太字の部分だけ覚えよう」といった姿勢は最も危険です。そういう姿勢で勉強している生徒と、自分の頭で考えている生徒に点差がつくようにテスト問題は作られています。テストによっては小問ごとに「知識」「思考」「判断」「表現」など目当てとする能力が明記されたものもあります。「知識」を身に付けることはもちろんですが「思考」「判断」「表現」などの問題が解けるようになってくれば、本当の意味での得意教科と言えるのではないでしょうか。

少しネガティブな切り口にはなりますが、こういった難易度の高いテストで思ったほどの点数がとれなくても「どうせできない」「やっても無駄だ」と思うことは避けましょう。少しの努力ですぐ点数が上がるテストなら苦労は少ないかもしれませんが、スポーツでも音楽でも人間関係でも、そんな簡単にいくことばかりではありません。周囲の友達とポジティブに励ましあいながら一緒に頑張ることも助けになると思います。

中学校最初の定期テストではどんな問題が出題されているのでしょうか。各教科、最近の特徴について説明します。

国語は他の教科に比べ平均点が低くなることが多い教科です。理由はその出題形式です。国語の定期テストというと「教科書で習った漢字」「教科書で扱った文法知識」「教科書に掲載された文章を使った読解問題」を思い浮かべる方が多いと思います。確かにそういった問題も出題されるのですが、それに加えて「聞き取り問題」や「作文」を出題する中学校が増えています。

これは千葉県公立高校の入試問題を踏まえた形式です。「聞き取り問題」については特に事前に授業で練習することなく出題されることもあるようですので、慣れていないとテスト中に慌ててしまうこともあるでしょう。「作文」については「2段落構成」「100字~160字」などと条件を指定され「与えられたテーマについて自分の経験を踏まえて考えを書く」問題が多く出題されています。こちらも経験がないと試験時間内に書ききるのは難しいのではないでしょうか。

また「漢字」については学校で習った漢字からの出題とはいえ、

(読み)かばんをげる。

(読み)眺望のよい場所。

(読み)恣意的な解釈。

(書き)神社にモウでる。

(書き)ケイブの念を持つ。

(書き)アゴがとがった顔。

と、大人が見てもドキっとするような問題が出されています。

数学は「正負の数」「絶対値」「指数」「素因数分解」などが一般的な出題範囲になりますが、一部いわゆる「割合」や「速さ」など小学校範囲の復習を出題する中学校もあります。これらの単元は、いずれ方程式に進んだ時に必要になるものですが、小学校時代に苦手意識を持ってしまった生徒もいるのではないでしょうか。

特に「計算はできるが文章題は苦手」という生徒は多いかもしれません。そういった生徒は、問題文が表している内容を咀嚼するのを面倒がる傾向があり、「考え方」より「解き方」や「答え」を求める傾向があります。「文章題に数字が2つあると、とりあえずかけてみる、それでダメなら大きな数を小さな数で割ってみる」といった姿勢がそれにあたりますが、実は上述した小学校のカラーテストではそういった適当な解き方をしていても80点や90点という点数を取れてしまうことがあり、その結果、生徒自身はそれが問題だと感じていないケースもみられます。

そういった生徒たちの抱える問題を意識してのことか、中学最初の定期テストでも「言葉や式を用いて説明させる問題」が出題されるようになってきています。次の問題はある学校の定期テストで出題された問題を改題したものです。

問)ある日の最低気温は-3℃で、その前日の最低気温は-7℃でした。ある日の最低気温がその前日の最低気温からどれだけ高くなったかを求める「式」を答えなさい。

少し考えれば難しい問題ではありません。しかし、文意が取れず手が動かない生徒もいるのではないでしょうか。

英語は一昔前と比べ傾向が最も大きく変わった教科だと言えるでしょう。理由は小学校での英語の正式教科採用です。現在小学校では5年生から英語が正式な教科となり、卒業までの2年間で(小学校の授業で文法単元名には触れませんが)「be動詞」「一般動詞」「複数形」「三人称単数」「代名詞」「疑問詞」「命令文」「can」「進行形」「過去形」「未来の文」など、数年前までは中学2年生の春先までかけて学習していた内容を学びます。もちろん体系的な理解や定着が目的でなく、英語を「聞き」「話す」ことを主眼に授業が進んでいきます。

ですから、小学校のテストは「聞いて選ぶ」問題が中心で、英文や単語を「書く」機会はほとんどありません。生徒たちの感想としては「よくわからないけど、テストの点は取れているし、何となくできてる気がする」というところではないでしょうか。

英語に親しみ、たくさん聞いてたくさん話すこと、それ自体は間違いなく大切なことです。

ただし、問題は「中1の教科書は小学校での学習内容を前提に作られている」ことと、「小学校での学習内容は思った以上に定着していない」という事実です。

そのような中で、最初の定期テストでは幅広い単元の内容を「書かせる」問題が出題されています。下記はその一例ですが、中学校に進む前に英語を書くことにも慣れておかないと、その急な変化に戸惑うかもしれません。

水曜日 (  )

人気がある (  )

50,000円 (  ) (  ) yen

私はよく音楽を聞きます。

 I often (  ) (  ) music.

私は昼休みの間に将棋をします。

 I play shogi (  ) lunch break.

私はたまごが5つほしい。

 I (  ) (  ) (  ).

理科や社会は基本的に小学校で触れたこのとある内容をより深める形で中学校の授業が進んでいきます。最初の定期テストは理科が「植物」や「動物」など生物分野、社会が「世界の国々」などの地理を扱う中学校が多いです(歴史から学習が始まる中学校もあります)。

理科・社会は中学校や問題を作成する先生によって難易度の差が大きい教科でもあるのですが、「小学校の時よりインプットするべき情報が多い」ことと「記述式の問題が多くなっている」という点には注意が必要です。

<旧来の選択式や記述式の問題>

問)日本最南端の島を次のア~エの中から選びなさい。

 ア.択捉島 イ.淡路島 ウ.沖ノ鳥島 エ.南鳥島

問)カエルやイモリのなかまの分類名を書きなさい。( )類

<最近増えてきている記述式の問題>

問)日本最南端の島で護岸工事が行われている理由を説明しなさい。

問)鳥類は、は虫類と比べ卵を一回で産む個数が少ない。その理由を説明しなさい。

小学生であれ中学生であれ、学校で受ける「テスト」には様々な感情を持っているかと思います。「がんばろう」「いい点をとりたいな」「いい結果で嬉しい」という気持ちもあるでしょうし、それと同時に「面倒だな」「苦手だな」という気持ちもあるかもしれません。

ポジティブな感情は小さな成功体験を積み重ねていくことで広がっていくものでしょう。ネガティブな気持ちは苦手意識から生まれてしまうものでしょうし、その苦手意識はちょっとしたつまずきを「まぁいいか」とそのままにしてしまうことがきっかけで生まれるものだと思います。

そういった観点でいえば、学習内容が抽象的になり難易度が上がっていく小学校中学年から、各教科の基礎となる内容の学習を終える中学1年生の秋口くらいまでの期間は、その先も勉強に前向きに取り組んでいくためにとても大切な時期です。

小学校・中学校のテストに関する情報を知り、早い時期から適切な学習を始めることで、ひとりでも多くの生徒が前向きに勉強できるようになればと思います。

なお、中学校の定期テストが千葉県公立高校入試にどう影響するかについては、こちらの【高校入試と定期テスト】で解説しています。よろしければ併せてお読みください。

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